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zoom RSS 未来を描く 『前川國男の建築探訪』 その2

<<   作成日時 : 2009/08/19 11:46   >>

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『茶碗』と『丼』は相似形ですが、その大きさの違いからそれらが呼び寄せるものも異なります。それは、白米と牛丼という中身ばかりでなく、上品によそうご飯と、ワイルドに盛る牛丼といった具合に、人の振る舞いにまで影響を与えます。
晴海高層アパートで感動したしたのは、そんなスケールという極めて物理的な要素を操作しながら、実は建築の質感を変えることで建築のあるべき姿を提示している部分にあります。(茶碗と丼の例えは逆に解りづらいですが・・・)
具体的には、晴海高層アパートの広い共用廊下もその一つです。



この廊下の広さは、音を気にして歩くホテルの共用廊下とは異なり、自転車に乗って突っ走りたい衝動を喚起します。以前、ジャン・ヌーベル設計の共同住宅の廊下を子供が自転車に乗って走るシーンを観たとき、社会に開かれたインフラのような建物のあり方に共感したのを憶えていますが、この晴海の廊下の広さに、公道を立体化することで、共同住宅を閉じた家としてではなく開かれた街という印象で表現する絶妙なスケール感を感じました。
(ちなみに、実際に子供達は路上のようにハシャギ過ぎ、子供の廊下での遊びが後に管理規約で禁止されたそうです。)

架構計画においても、新陳代謝するスケルトン・インフィルの考えで計画されているのですが、現在趨勢をしめる一住戸内に限定した更新ではなく、3層2列(合計6戸)の住戸を丸々自由に交換できる、文字通りメガ・ストラクチュアと呼ぶに相応しいスケールで展開しています。そして、またこのメガ・ストラクチュアも新規に宅地を生み出すインフラのようでもあります。





実際に更新されることは無かったようですが、この建築の未来に対する構想力とそれに適した質感を与えるスケールやデザイン処理は、たとえ更新されなくとも、それ自体に時代を超えて残り得る強さ、あるいは残るべき質があるようで、取り壊されたことは本当に残念です。

跡地に建つ再開発(トリトンスクエア)ビル群。
晴海のメガ・ストラクチュアを遥かに超えて膨らんでしまったこれらビル群の膨大な容積という資本は、前川さんの、開かれた社会を創ろうとするフラットな力に代わる新しい力を生み出すことが出来るでしょうか?
今のところ、富の一極集中という垂直な力として顕在化しつつあるようで少し心配しています。

最後に、見学後にいろいろと資料を探したなかで、当時、構造担当として関わった木村俊彦さんのスケッチを見つけましたので添付しました。ストラクチュア毎に小さな街が詰め込まれたようなこのダイアグラムこそ、この建物の本質をズバリ突いているような気がします。




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