ノマディック美術館

先週末、お台場にある坂茂氏設計の『ノマディック美術館』に行ってきました。週末は夜の10時までオープンということで、ゆっくり夕飯を食べてからお出掛けです(外国みたいですね)。
凸凹に積み上げられた色とりどりのコンテナはライトアップされ、これまで体験したことのない独特の雰囲気を持つ外観です。内部は教会のような、神殿のような空間とでも言いましょうか。最大高さ16m、奥行100mという巨大な空間の中に、高さ10m、直径74㎝の紙管の列柱が美しく並んでいます。柱の間にはアーティストのグレゴリー・コルベール氏の作品『ashes and snow』が宙に浮くように展示されています。というのも、和紙にプリントされた写真に光があたり、さらに光の額縁を持つその影が側道の砕石(なんと線路に敷く石だそうです)に落とされ、非常に幻想的な風景なのです。
ノマディックという名前のとおり、この美術館は放浪の旅の途中です。これまで、ベネチア、ニューヨーク、サンタモニカをめぐり、ようやくこの東京に辿り着いたのです。ということで6月24日を過ぎるとまたどこかに旅立つこの美術館。主要構造であるコンテナはリース(現地調達)、柱の紙管はリサイクル、床板は再利用される仮設建築なのです。工期は約2か月。滞在期間は約3か月。もっとゆっくりしていけばいいのに・・・。
グレゴリー・コルベール氏の作品『ashes and snow』は、15年間に渡って、インド、エジプト、ミャンマー、トンガ、スリランカ、南極大陸、ボルネオ諸島など世界中をめぐる旅の中で撮影された写真と映像です。テーマは人間と動物との交流。実は、動物たちが置物のように大人しく静かな様子に、画像を合成したんじゃないの?と疑いたくなるほどですが、これらの作品は正真正銘の実写版です。琥珀色(アンバー)で統一された作品を観たとき、先日読んだ香りの話を思い出しました。アンバーという香りは、マッコウクジラの腸内や内臓にできた結石で、人工では作り出せないそうです。コルベール氏の作品のなかにマッコウクジラとたわむれる人間の映像があるのですが、そのじれったいほどの時間の流れは、現代社会でも決して手に入れることのできないものを見せつけてられているような感じです。映像のナレーションは渡辺謙さん。音が大きすぎたのか、仮設建築だからなのか、音が割れてしまってよく聴き取れなかったのが残念です。それから、室内は冷房の効き過ぎで、がたがた震えながら60分もの映像を観るはめになりました。きっと屋根が塩化ビニールなので昼はいいのでしょうが、夜はとても耐えられません。お陰で、作品の余韻に浸るどころか、体は氷のように冷え体力を消耗してしまいました。
作品集は、作品のテーマに相応しく、感触や見た目も素朴な手綴じ本で、16,800円という通常では考えられないほど高価なものだったのですが、DVDやノート、ポスターの特典付きということで、結局購入してしまいました。作品集のカバーは天然蜜蝋を引いたネパール製のみみつき手漉き紙で、ハイビスカスの葉で染めた紐にはネパールの赤いビーズがついていて、その紐どうしを絡ませて結わいます。以前にフィジーの小さな島で、現地の人が描いた模様のような絵を買ったのですが、同じような紙質で癖のある懐かしい匂いがしました。きっと密蝋の香りだったのでしょう。

『ashes and snow』の情報はこちらです→http://www.ashesandsnow.org/jp/index.php



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