矩計図

週末、ミヒャエル・ハネケ監督の『隠された記憶』という映画を観ました。ミステリーということで、犯人は誰か?ということに囚われがちですが、本当に分からなかったことは、理解しているはずの日常の生活や家族の持つ不安や疑いや恐怖。映画の中で、家や学校をやや離れたところから撮った映像とジョルジュの夢の映像は、第三者に見られているという点で不安と苛立ちを覚えます。また、室内の映像では、家具や絵や調度品といったものが、持ち主の性格を本人以上に生々しく現わしていて、奇妙です。リビングの大きな純白の革製のモダンなソファー(まめに拭かないとすぐに角が黒ずむだろうなーと思うようなB&Bかカッシーナの高級ソファー)、息子ピエロの黒の肘掛付セブンチェア、貧しいマジッドの汚れたパイプ椅子、ジョルジュの母の使い込まれた革張りのアンティークの椅子など・・・。この映画は、登場人物の言葉が少なく、日常的な場面が多いので、余計にアレコレ妄想してしまうようです。

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さて、8月から、W邸の実施設計を始めたのですが、普通、平面詳細図から取り掛かるところを、今回は、木造ではめずらしく横連窓で、柱の周りを梁が巻く構造なので、矩計図から作ることにしました。矩計図(「かなばかりず」と読みます)というのは、簡単に言うと、建物の断面を詳細に表したものです。基礎から土台、壁、サッシ、水切り(雨水の回り込みを防ぐ小庇のようなもの。外壁の防汚にもなる)、大梁、軒または屋根のパラペット(屋上防水の立上がりをつくる壁)までの高さ関係や、断熱の位置(例えば外断熱なら壁の外側に断熱材を充填し、さらに通気層を設ける)を細かく示します。断熱を考える上で、透湿抵抗が問題になり、防風層を境に外側:内側の比を1:2以上にする必要があります。断熱材と通気層の間に 防水紙を貼るのですが、これが防風層にあたります。当然、外断熱の方が壁分の透湿抵抗が内側に加算されるので、内断熱よりも有利です。矩計図は、各材料の厚みを積上げることで、スラブ(床厚)や、柱芯から壁までの厚みがはじき出され、それが平面図や断面図にフィードバックされます。実施設計は、ミクロの世界からマクロの世界へ行ったり来たりの繰り返しです。


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