光の館 House of Light

先週、夏休みを利用して、家族で、新潟の「光の館」に宿泊しました。このゲストハウスは、光の魔術師ジェームズ・タレルの美術作品です。数年前、アトリエワンが設計したコテージBに宿泊した時、その近くに建つ、「光の館」を見学したのですが、その佇まいがとても気に入ってしまい、それ以来、いつか宿泊してみたいと考えていました。その願いがやっと叶ったというわけです。



谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』をもとにつくられたという「光の館」。「Outside in」という和室で光のプログラムを体験することができます。私達はそこに寝泊りしました。チェックインする際、美術作品に宿泊する上での利用条件(風呂の段差、室内の照度、屋根の開閉などについて)が書かれた同意書を家族で読み、同意のサインをしました。少しでも雨が降っていると屋根は開放できないのですが、誤って開放した場合は賠償責任があります。美術作品のお値段は果たしていくらなんでしょう・・・。その他、畳を汚すと1枚2000円、障子1マス500円など、細かく賠償金額が決められています。今回、甥っ子の幼稚園児と姪っ子の赤ちゃんが同泊していたのでちょっとヒヤヒヤしましたが、「ココはゲイジュツだから汚さないでね」と言うと、大人しくしてくれました。帰り道、ドライブしながら彫刻をみつける度、「これもゲイジュツ???」、駐車場の奇妙なキャラクターを目前にして自信満々に「これもゲイジュツ!」。アートに開眼してしまった甥っ子なのでした。
さて、「Outside in」での光のプログラムは、夕方は6時20分から、翌朝は3時50分から、それぞれ1時間、屋根をスライドした開口部から空を見つめるというものです(プログラムの時間は季節ごとに日没と日の出時刻によって変わり、係りの人からあらかじめ説明を受けます)。畳にごろんと寝転び、刻々と移り変わる空を凝視し続けるなんて、非日常的な体験です(しかも1時間は結構長ーい)。



夕方のプログラムでは、ビールで乾杯したり、ウトウトしたり、10分~20分置きくらいに写真撮影しながらのんびり過ごしました。青い空が藍色になり、紺色になり、漆黒になり、最後は天気がよければ星が見えるそうですが、その日はあいにく雲がかかって見えませんでした。



朝のプログラムは、到底自力では起きれそうにないので目覚まし時計をかけたのですが、誤って30分前に起きてしまい、結局1時間30分もの間、お空と睨めっこするはめに。以前、直島の南寺でタレルの、『バックサイド・オブ・ザ・ムーン』というインスタレーションを鑑賞したとき、真っ暗な空間のなかに白いスクリーンが見えるまで、20分以上じっと我慢した経験があったので、多少の覚悟?はあったのですが、今回は本当にきつかった・・・。皆さん、時間だけは間違えないようにしましょう。



早く起きてしまったので、「Light Bath」という浴室を撮影することにしました。夜は、光ファイバーによって水中の体が発光し、体の動きや波紋によって、水面の光が揺れる模様を体験できるのですが、さすがに早朝の4時ともなると、微量な外光によってその効果は妨げられ撮影できませんでした。残念。



夕飯は、ケータリングもあるのですが、立派なキッチン、調理器、食器が備え付けてあるということで、前日からブリ大根とアジの南蛮漬けを用意して自炊することにしました。義理の兄も、5時間煮込んだという本格派カレーを持参してくれたので、現地でしか味わえない美味しい日本酒とともに、みんなでいただきました。2次会は回廊にテーブルを設え、夜景を見ながらのんびりお酒を飲んだのですが、涼しい風が頬をなで、極上のひとときを過ごしました。
朝は同じ回廊で、朝陽が眩しく照りつける中、ケータリングでの食事です。持参したコーヒー豆の分量を間違えて、白湯のようなコーヒーを飲む羽目になった以外は最高の朝食でした。








「光の館」は古い日本家屋の形式を持つ、回廊や屋根から延びる深い軒、そして陰影を重んじる限りなくそぎ落とされた光によって構成された、心身ともに癒される素晴らしい建築です。単純に、こんな家で暮らしたいと思う反面、建築に携わる者として、批評性や、学術的テーマも重要・・・。「好きなもの」と「作りたいもの」の挟間で揺れ、でも、その隙間を埋める何かを発見したい、そんな思いがつのる旅となりました。

光の館のサイトはこちらです→http://www11.ocn.ne.jp/~jthikari/jp/index.html

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