寅さん全部見るのも結構つらいよ_その8

今回は、第8作目の「男はつらいよ」(寅次郎恋歌)のレポートです。

はじめに、「おいちゃん」(森川信さん)、本当にありがとう。どうぞごゆっくりお休み下さい。本作が初代おいちゃんの遺作となりました。それはもう44年前のことですが、寅さんへのあの愛情溢れる雑言をもう見れないと思うと本当に残念で仕方ありません。



ところで、本作にはこんなシーンが出てきます。
○フラッと寅さんがとらやに帰ってくるシーン
タコ社長:「寅さんが帰ってきたんじゃないかい、これから大変だねえあんた達も、ご愁傷さま。」
おいちゃん:「馬鹿野郎、何がご愁傷さまだ。寅は俺のたった一人の甥っ子だぞ。」

○寅さんが、マドンナ役の池内淳子から、だんご屋の苦労を察せられるシーン
寅さん:「老い先短い老人夫婦の遊び半分のことです。(中略)思えば不幸な一生だったんじゃないですか。あの年寄りも。」
おいちゃん:「よくも俺を殺しやがったな。(中略)俺の生涯はなあ、本当に幸せだった。てめえさいなけりゃ。」

○寅さんと喧嘩後、いつまでも仲直りしようとしないおいちゃんをおばちゃんが咎めるシーン
おばちゃん:「そんなこと(意地の張り合い)いつまで続けるんだい。」
おいちゃん:「決まってるじゃねえか。死ぬまでよ。」

おいちゃんの遺作になるという情報を事前に知ったせいもありますが、おいちゃんの最後を予告するようなこうしたセリフに、不思議な思いを抱かずにはいられませんでした。
でもそれは、オカルト的な興味としてではなく、多くの国民に愛されたシリーズでの、不思議ではあるものの、必然性するありそうな出来事として感じました。
最近、東日本大震災の被災地における心霊体験が話題になっていましたが、そんな体験をしたタクシー運転手達は皆、それを心霊体験というより、犠牲となった人達に対する畏敬の念として、心の整理をしているようだったと報告されていましたが、おいちゃんの遺作となるセリフに対して先のように感じたのは、そんな気持ちに近いのかもしれません。
少し大袈裟な話になってしまいましたが、これもおいちゃんが好き過ぎてのことなので、お許し下さい。

さて、本作のストーリーですが、これもまた、哲学的というか、文学的というか・・・、深さがあります。
「また、いつも通りフラれちゃったよ。」と寅さんは言いますが、今回、寅さんはフラれていません。所帯を持って土地へ定着するか、その日暮らしのフーテンかの選択を迫られた寅さんが、前者への強い憧れのなか、後者の道へ進み、マドンナの元を去ります。これは、寅さんの選択というより、そうするより他は無かった。そんな描かれ方でした。文字通り、「男はつらいよ」という内容です。
今回のこの味わい深さについては、私の拙いブログより、是非、本編をご覧になることをお勧めします。
その他、城下町、備中高梁の美しい風景や、二度目の登場となる志村喬さんの名演技、おいちゃんと寅さんの愛情に満ちた喧嘩など、本当に味わい深い作品でした。



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